①日付確認 |
日時感覚がわからなくなってくると、「今日がいつ」で、「何曜日なのか」
など理解できなくなることがあります。
その場合普通の市販カレンダーでは不要な情報も多く、どこに目を向け
れば良いのか混乱してしまうことも少なくありません。 できるなら記事
のないシンプルな「日めくりカレンダー」などがお勧めです。
「毎日カレンダーをめくり、日にちと曜日を確認する」という目標づくりに
もなります。 |
②昼夜逆転 |
認知症を進むと、生活のリズムが大きく変わり昼夜逆転から、幻覚など
様々な周辺症状が見られる場合があります。
こんな状態が続くと介護者は眠れずに疲労も限界がきてしまいます。
日中に体を動かすことで、生活リズムが回復させるということも方法の
一つではありますが、それら周辺症状が他の病気から来ている可能性
もあるため早期通院で医療職の方と相談することも必要です。 |
③場所の混乱 |
トイレや居室の位置など場所把握ができず、混乱する場合があります。
口頭でその都度説明しても、すぐに忘れてしまい再び探し始めるという
ことも少なくありません。
こういった場合、「トイレ」、「お母さんのお部屋」、「お風呂場」、「玄関」、
「危険」、「故障中」、「禁止」、「禁煙」など貼り紙を活用すると、ご本人が
目で分かるようになります。 |
④物取られ妄想 |
認知症は記憶障害から、自分が行った事をまったく覚えていないことが
多くあります。
他の方にいくら事実を説明されても、本人自身まったく覚えていない訳
ですから、納得ができるはずありません。
ともすると、「お嫁さんが盗んでいる!」、「あの人は泥棒だ!」と疑われ
始める可能性もあります。
万が一そういった場合でも怒ったり否定等せず、「一緒に探しましょう。」
と提案してみてください。
また、探し物を見つけたとしても、ご利用者が自分自身で見つけられる
ように声かけ・助言することが大切です。 |
⑤性格変化 |
認知症を患うと、性格が変わったかのように怒りっぽくなる方がいます。
原因の多くは感情をコントロールする能力低下や、様々な思いや考え
を表現できないもどかしさからくるものだと思います。
ここで対応者が怒ったり、注意したりすると、より興奮が高まる場合が
あります。
むしろ上手に話題を変えながら、注意を別の方向に持っていく、しばらく
の間距離をおき間をおいてから再度対応する、など工夫が必要です。
また、症状について「どのような問題が」、「どんな時に起こり」、「誰が」、
「何について困っている」などを、専門医に相談する必要もあります。 |
⑥外出拒否・閉じこもり |
閉じこもり状態で、外出を拒否される方もたくさんいます。
ただしそうした方でも、病気への不安は常にもたれて、「このままでは
体によくないな」と気づいている場合も多くあります。
そういう心理を理解して、「健康のために、週に1回だけでも外に出て、
気分転換したほうがよいと思います。いかがでしょうか。」など、ご本人
の体調を心配しているということ全面にだし声かけすると、本人の考え
が揺らぐ場合があります。 |
⑦環境変化 |
本人の安全のためにと、家族主導で転居や住宅内の環境整備を行う
場合があります。
しかし、高齢であったり認知症を患った方の多くは、新しい環境を受け
入れずらく、道具の操作や配置などすぐに覚えられません。
本人の安全のためと考え行ったことが、認知症を悪化させ、また不安
や転倒などの事故を引き起こすという場合もあることを認識しなければ
なりません。
とはいっても、どうしてもそうしなければならない時もあります。
こういった時は、本人が今まで使っていた愛着のあるものや懐かしい
写真などが周囲にあると落ち着かれる場合があります。 |
⑧物の処分や移動
|
本人以外の人からみれば、必要のないゴミであっても、本人にとっては
大切なものである場合があります。 「いらないだろう」と思っても勝手に
移動すると、不安を与えてしまうばかりか「物取られ妄想」を引き起こす
可能性もあります。
認知症だからと先入観をもつことなく、本人に必要か否か確認していく
ことが大切です。 |
⑨情報収集 |
認知症の方を支援する上で、ご本人が生活してきた歴史の情報収集は
きわめて重要です。
認知症は世間で言われるように、最近の記憶は忘れっぽくなってしまい
ますが、「頑張っていたころの記憶」、「楽しかったころの記憶」、「苦労
してきた歴史」などは鮮明に覚えています。
また病気が進行し周辺症状が進むと、それら生活歴や習慣が顕著に
現れる場合もたくさんあります。
本人を一人の個人として理解するうえでも大切な視点となっていきます。 |
⑩コミュニケーション技術 |
話題の提供や話しやすい雰囲気づくりなどのコミュニケーション能力は、
信頼関係をきずくためにも必要です。
ただしこれは「口達者になる」ということではありません。
相手が気持ちを許し、本音を話してくれるような関係づくり、聞き上手な
対応が望まれます。 |
⑪観察力 |
訪問時には、会話で得られる情報だけでなく、その周囲からもたくさんの
情報が得られます。 「観察力」を磨くことも支援において求められます。
こうした細かな情報収集は、後に来るであろう「混乱期」を打開する際の
ヒントになる場合もあります。
下記は一例ですが、それこそ他にもたくさんあります。
・心身情報 … 顔色、歩行、ケガ、表情、活気、発語状況 皮膚状態 |
・趣味情報 … 将棋・囲碁、編み物、お土産品写真、花木、雑誌、賞状 |
・生活情報 … 整理状況、ごみ管理、服薬の様子、部屋の臭い、郵便物 ・ |
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⑫支援に悩んだ時の対策 |
介護や仕事に熱心な方ほど多いのですが、全てのことを自分でやろう
としてしまい、悩みを吐き出せない状態に陥る場合があります。
ひとりで悩みを抱え悶々としていても、きっと良い解決策などは見つかり
ません。
こうしたときには、他の方を巻き込み相談するという姿勢が大切です。
相談をすることで、自分ひとりが背負っていた重荷が分担できる場合も
あります。
「悩んだら、相談する」これは介護のみならず、すべてのことに言えるの
ではないでしょうか。 |